
アー ティスト紹介
音楽は、私たちが現実を捉える感覚を変えることができる。
視線を動かし、見過ごしていたものを浮かび上がらせ、ありふれた日常を新しい体験へと変えていく。
おそらく、そこからオリヴィエ・フローリオの仕事は始まる。
映画は、ごく自然に彼にとって最初の表現の場となった。
彼の音楽は、スクリーンの中に新たな空間を生み出し、映像に奥行きを与える。そして時を重ねるうちに、その音楽は次第にスクリーンの境界を越え、現実へと還っていくようになった。
以来、彼は思考を映し出すように音楽を作曲している。
自らの内側にある映像、そのサウンドトラックを書くように。
それは、私たちが世界に生きるあり方だけでなく、存在そのものを問いかけるひとつの方法でもある。
「音のヴィジョン」
オリヴィエ・フローリオは、音の素材を、それが何を表すかではなく、そこから何が可能になるかによって選ぶ。弦楽器、オーケストラ、ピアノ、エレクトロニクス、そしてサウンドデザイン。それらはひとつの意図のもと、自由に対話する。
目指すのは、繊細で、深い余韻を残す音楽。
聴くたびに、その瞬間ごとに、映像が浮かび上がるような音楽。
長い年月をかけて育まれてきた、唯一無二の表現言語。
それこそが、今では彼の音楽を特徴づける確かな個性となっている。
「オリヴィエ・フローリオ ― コンセプチュアル」
ベルカッセム・バルーリ
(『ローリングストーン』誌 編集長)
彼のアルバムは、ひとつの物語を紡ぐように構成されている。
それぞれの曲が次の曲を呼び、そのひとつひとつのつながりが、アルバム全体の流れを形づくっていく。
作曲家は、それぞれの音の断片を組み合わせるために、尋常ではないほどの時間を費やす。
中には、映画のシーンが連なっていくように、ひとつの物語を構成する不可欠な一節となるまで、何度も書き直されるものもある。
だから彼のアルバムは、もはや単なる曲の連なりではない。
それは、偉大なコンセプト・アルバムの精神を、一つの旅として横断していく体験なのだ。
「Shift」
彼は、音楽をいつもとは違う感覚で聴くよう、私たちを誘う。
ヘッドフォンをつけ、彼のアルバムのひとつを聴きながら街を歩くだけで、現実の質感が変わったように感じられる。時間は引き伸ばされ、街の細部が、これまでとは違う密度を帯びてくる。
彼の音楽は、世界を物語るのではない。
世界の感じ方そのものを変えていく。
そこには、私たちの時代に潜む、目には見えない力が浮かび上がる。
その流れ、構造、せめぎ合い。
そして、時間や意識、物質との関わりをめぐって、私たちの内側を横切っていく問いまでも。
ほんのわずかなズレ。
彼が好んでそう呼ぶ「Shift」。
そして突然、現実がその詩情を明らかにする。
おそらく、それこそが彼の本当の素材なのだろう。
音でもなく。
映像でもなく。
視点。
その人物を、さらに辿る。